2012年10月27日 そば、大豆の収獲

ちょうどふるさと祭りで西原を訪れてから2週間。あの時色づき始めたばかりだった川沿いのモミジの葉は、いつの間にか鮮やかな赤色に染まり、民家の庭先にある柿の木はたくさんの実をつけ、秋の深まりを告げていました。

車で向かう途中、道路わきのフェンスの上を歩くサルの姿を見た時には、「これが噂のサルか…」とあまりの悠然さに皆で驚きの声をあげてしまいました。

 そのまましばらく車を進めると、誘導係の方が道路の所々に立っています。よーく顔を拝見すると、見慣れた地元の方。その先には体操着を来た小学生の姿が見えます。どうやら小学校の「マラソン大会」と重なったようです。急な坂道を一生懸命走ってくる小学生たちは、先ほど出くわした猿と同じくらい真っ赤な顔をしています。これは私たちも応援しなければと、車を止めて、即席応援団として声を張り上げました。Yちゃん、K君、T君たちの一生懸命走る姿を見送ってから、いよいよ今日の目的地へ向かいます。

 

 今日は、そばと大豆の収穫ですが、車が向かうのは畑でもなく、びりゅう館でもなく、はてどこに向かっているのだろう…と思っていると、もうひとつの水車小屋近くの竹林でした。刈り取ったそばや大豆をかけて、天日干しをするための竹を切りだすのです。(竹を組んだ干し台のことを西原では「うし」といいます。)朝方の雨で竹林の足場が悪い中、適当な太さの竹を見つけて、ノコギリで切り倒していきます。表皮が白みを帯びている竹はまだ若いので、節が黒くなっていて適度な太さ、切りやすい位置にある竹を選びます。竹の傾き加減によって、倒れる方向を見極めます。竹によっては、逆に予め倒れる方向を決めてから、切り口を加減する場合もあります。いずれの場合も切り倒す際は、周囲への注意を忘れずに。さて、私が切り倒す番。「まだかなまだかな…」と思いながら、ノコギリを動かし続け、やっとのことで、切り倒すことができ時には、息が上がり、腕の筋肉がパンパン。たった一本の竹を切り倒すのに、こんなことでは、全く情けない限り。田舎で生きていくためには、体力も必要なのだということを、思い知らされました。

 

 次に、切り倒した竹を2メートルと6メートルに切り分けます。今回は2セットの「うし」を作るために、支柱用の竹2メートルを計16本、収穫物をかけるための竹6メートルを計2本用意しました。それらの竹を軽トラで運搬するのですが、長い竹を軽トラに乗せるだけでも、かなりの技が必要になるのですね…。絶妙な位置にある軽トラのフックや出っ張りの意味に感心しながら、竹の積み込みが完了しました。

 

 いよいよ、「うし」作り。まず、両脇の支柱用に3本の竹の上部を縄でぐるぐる絞めて結び合わせます。それをバランスよく広げて、両端に置き、その上に6メートルの竹を渡します。真ん中に2本の竹を合わせた支柱を入れ、強度を高めます。なかなかバランス良く建てるのが大変でしたが、何とか昼食前に、2セットを作り終えることができました。この後は、お楽しみの昼食タイム。今日の昼食は、縁側カフェで頂きます。小高い場所にある縁側からは、西原の景色が見渡せ、初めて丸山に行った時のように、はしゃいでしまいました。皆で外で食べるご飯は何でこんなに美味しいのでしょう!しかも、今日のご飯はとても豪華。海鮮と野菜のフライ、ナスのオランダ煮、なます、白菜のクリーム煮、キノコご飯、味噌汁、お漬物、果物、コーヒー…。午前中の重労働のエネルギーが十分に補給されました。お腹が一杯過ぎて午後の作業がはかどるかちょっと心配でしたが…。

 午後は、畑でいよいよ収穫作業。先日の強風で殆ど倒れている赤いそばの茎を鎌で、刈り取っていきます。刈り取ったそばは、ある程度の量をまとめて、紐で束ねていきます。昨年に比べて、残念ながら、ちょっと実が少ない様子。大豆は実がはじけるまで待った方が良いのですが、イノシシに食べられた形跡があったため、一緒に収穫することにしました。こちらは今年も実が豊富についています。手で根っこから引き抜きます。二つの束を一本の紐で括っていきます。収穫したそばや大豆でいつの間にか山積みになった軽トラを見送りながら、今年も一粒の種からこんなに収穫できたんだなぁと、そんな機会を仲間たちと共有できて良かったなぁと、自然の恵みへの感謝と、優しい気持ちで心が満たされました。

 

 良い気分に浸っているのもつかの間、本日最後の作業、収穫したそばや大豆を、「うし」に掛けていきます。そばは紐の結び目のところから、半分に分けて竹に掛けていきます。大豆は既に二束に分かれているので、そのまま紐を掛けていくだけ。その上に、鳥よけの網をかぶせます。途中、重みでバランスが崩れ、倒れそうになるたびに、「わぁっ」と声があがりましたが、声を掛けながら、足の幅を調整していき、何とか倒れない状態になりましたこの次来るまでに倒れていませんように…。

 

 十三夜の月が山から登ってくるのを見届け、西原を後にしました。

 

れんこん

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