2012年11月17日 そばの脱穀

乗り換え電車が上野原に近づく程に、気温が低くなるのを肌で感じながら、車窓から今にも降り出しそうな空模様を眺めているうちに、上野原へ到着しました。ここまで冷えれば既に山の紅葉は終わっていると思っていましたが、何の何の、カーブを抜けて目に飛び込んだのは、見事なまでの紅葉ではないですか。まるで、束の間の秋を真っ赤に燃え上がらせて締めくくっているかのようです。鮮やかな紅葉が目に飛び込んでくるたびに、車の中は歓声で包まれました。

今年で三回目の秋となりますが、これほどまで鮮やかな紅葉に出くわすは初めてです。(後から聞いた地元の方の話でも今年の紅葉は例年より素晴らしいそうです。)

 

興奮冷めやらぬまま、びりゅう館に到着した私たちは、手早く荷物を置いて身支度を整えます。なぜなら、雨が降ってこないうちに、そばの脱穀を済ませたかったからです。

 

まずブルーシートを広げ、その上にござを並べます。ちょうど20日前に竹竿に干しておいたそばを、実がはずれないように、丁寧に竹竿から取り外し、先ほど広げておいたブルーシートの上に置いておきます。まず、ヒモで束ねたままのそばの実を手でしごきながら、はずしていきます。その後、木槌でたたきながら、更に実を外していきます。今回使用した木槌は、守雄さんが桑ととちの木で作ったお手製のもの。握り具合もちょうどよく、トントンとリズムカルに叩いていきます。木槌で思い切り打ちつけるのに、ござがうまい具合にクッション替わりとなってくれます。かなり原始的な方法ですが、日ごろのストレスを発散させるべく思い切り叩いている人もいました(私のこと?)。最後に残った実を手ではずしたら、一緒に混ざりこんだ茎や葉などのゴミを取り除くための作業に移ります。

 

去年も一昨年も唐箕を使って選別をしていましたが、今年は収穫量を見て、ザルに入れたそばに、自分の息を吹きかけながら風を起こし、軽いゴミと重いそばの実とに選別することにしました。口を尖らせながら、フーッフーッと吹きかけるたびに、ゴミが舞い上がり、選別されていきます。たまに隠れていた虫たちが姿を現し、「きゃぁ」と声を上げそうになるのを、こらえるのに必死でした。(畑作業をしてから既に三年になるのに、いちいち虫に驚いていたのではカッコがつきませんから。)やっていくうちに、ザルよりもチリトリを使った方が選別しやすいことが分かってきました。取っ手の方を少し斜めに下げ、前方を上げた状態でとうまい具合にゴミが前方から舞い落ちていくのです。何事も経験が大事ですね。しばらく息を吹きかけていると、だんだん酸素不足になり、終いには頭はクラクラ、目はチカチカしてきました。適当なところで交代しながら作業を進めた方が良さそうです。

 

全ての脱穀作業が終わり、計測タイム。結果は…?結局今年は全部で1.2キロの収穫量となりました。例年と比べ少な目でしたが、それでも一粒のそばからたくさんの実をつけてくれたことに感謝できる機会として、脱穀作業のプロセスはとても大事で心豊かな時間を、私たちに与えてくれました。このような実体験を通して、いろいろなことを感じていけば、日常生活においてもさまざまなことに「思いを巡らす」ことができるのではないでしょうか。心を豊かにするのも、行動に変化を与えるのも、世の中を変えるのも(ちょっと大げさ?)まずは、この「思いを巡らす」ことから、全ては始まるのではないかなぁとクラクラする頭で感じたのでした。

 

この後、更に干して、水につけてゴミや石を除いてから、再度干す作業があるそうですが、今回は守雄さんに託すことにしました。よろしくお願いします。

 

びりゅう館で頂いたざるそばの香り高く、美味しかったこと…。やはり新そばだったのでしょうか?雨は予報どおり本降りになり、しばらく様子を見て、小止みになったところで、コミュニティハウス前のヤーコン掘りに出かけました。途中、地元の消防団の方々が防火水槽の清掃作業している場面に出くわしました。やはり見慣れた地元の方たちの顔があり、相変わらず幾つもの役割を地域で担っているのだということを見せつけられました。

 

さて、肝心なヤーコンですが、やっと掘り当てても、どういう訳か大きく育っておらず、小さいコロコロしたものばかり。昨年は抱えきれないほどたわわになっていたのがウソのようでした。一体何が起こったのでしょうか。動物たちに食べられてしまったのでしょうか。来年はリベンジを図らなければいけませんね。収穫を見越してびりゅう館で購入しなかったヤーコンは、次回訪れた時に手に入れようと思います。

 

 帰りに舩木さん宅に寄った頃には、辺りはすっかり夜の闇に包まれていました。冷えた体を炬燵と暖炉で温め、タイ菜の漬物、ふかしイモ、大根とジャガイモの煮物を頂きながら、先日テレビ山梨で放映された、はたけっとマーケットと祭りのDVDを鑑賞させて貰いました。いつもながら、居心地の良さについ長居したくなりますが、雨が激しくなってきたので、帰路へつくことにしました。次にお会いする頃には、西原がイルミネーションで彩られている頃でしょうか。今年も残り後わずか。

 

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